全体的な心血管の健康を示す指標であるVO2 maxは、体が酸素をどれだけ効率よく取り込み、利用できるかを示します。これは、体の持久力やパフォーマンス能力を知る手がかりとなります。 

持続的な身体活動中、筋肉へ酸素を効率よく届ける能力が高いほど、VO2 maxも高くなります。 

VO2 maxを高めることは、全体的な心血管の健康と体力を強化する最も効果的な方法の一つに挙げられます。そして、運動習慣を少し変えるだけでそれを実現できるのです。特定の種類の有酸素運動をトレーニングに取り入れることで、心肺機能と全体的な健康状態を着実に高めることができます。 

メンバー向けヒント:心肺機能に関する機能を使ってVO2 maxの向上を追跡しましょう。この機能は、サブマキシマル歩行テストの結果に基づいてVO2 maxを推定します。VO2 maxは、4つのレベル(低い、適切、高い、最大)に分類されます。Oura Ringから得られるこれらの健康インサイトを活用することで、心血管の健康状態の経過を長期的にモニタリングできます。

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VO2 maxが重要である理由

VO2 maxはアスリートだけが使う指標ではありません。すべての人にとって、健康状態を知るうえで重要な指標です。「健康目標が何であれ、VO2 maxは体力が向上しているかどうかを知る手がかりになります」と、Ouraのデータサイエンスアドバイザーであり、運動生理学の専門家であるMarco Altini博士は説明しています。 

例えば、食料品の買い出しで重い荷物を家に運ぶこと、ハイキングに行くこと、子供や孫と遊ぶことなどを想像してみてください。「VO2 maxが高いほど、こうした活動も楽に、より快適に楽しめます」とAltini博士は言います。 

また、VO2 maxは、全体的な健康状態、エネルギーレベル、疾患リスクを示す強力な指標でもあります。研究では、VO2 maxが高いほど、将来的な心血管疾患のリスクが低く、メンタルヘルスが良好で、睡眠の質も高く、全死亡リスクも低いことが示されています。

VO2 maxを高める方法

運動はVO2 maxを高める最善の方法です。そして朗報があります。研究によると、この指標はトレーニングによって大きく改善できることが示されています。 

全体として、一定の強度で行う有酸素運動を基本に、ときどき高強度のインターバルトレーニングを取り入れることを意識しましょう。Altini博士は、「ほとんどの日はリラックスした無理のない呼吸を保ちながら運動し、週に1回程度は強度を上げるという組み合わせが、VO2 maxの向上に理想的」と説明しています。

ただし、取り入れるべき具体的な運動プログラムは、個人の体力レベルによって異なります。 

初心者向け:低強度の運動(例:ゾーン2のトレーニング。詳細は以下を参照)から始めましょう。週1回のインターバルトレーニングに向けて、段階的に進めます。 

中級者/経験者向け:レベルアップするには、トレーニングプランに低〜中強度の有酸素運動と、週に1〜2回のインターバルトレーニングセッションを組み合わせるとよいでしょう。

メンバー向けヒント:Ouraでは、自動で記録されたアクティビティや手動で追加したアクティビティについて、平均心拍数と心拍ゾーンを確認できるようになりました。アクティビティを完了すると、心拍数の推移と、6つの心拍ゾーンそれぞれに何分間費やしたかを確認できます。

ステップ1:ルーティンにゾーン2のトレーニングを追加する

Oura Ringを装着してエアロバイクに乗っている女性

ゾーン2のトレーニングとは、最大心拍数の約60〜70%にあたる心拍数ゾーン2で行う低強度の運動を指します。ジョギング、早歩き、中程度のサイクリング、ハイキングなどがこの種の運動に該当し、体が酸素をエネルギーとして効率よく利用できるようにします。  

Altini博士は、「自分に合う『ゾーン2』の有酸素運動を見極めることが重要」と説明しています。「このゾーンでは、初心者は通常、遅めのペースや出すべき力を抑えてトレーニングします。一方で、トップアスリートは、同じ低めの強度でも、もっと大きな運動負荷に耐えることができます」と博士は述べています。 

Ouraのアクティビティ自動検出機能を使うと、どの程度の運動がゾーン2に入るのか、簡単に把握できます。Ouraでアクティビティを完了すると、心拍数チャートと、6つの心拍数ゾーンのそれぞれに何分間費やしたかを確認できます。

ゾーン2のトレーニングを取り入れる方法

毎週、60〜75分のゾーン2の有酸素運動セッションを2〜3回、合計で週150〜200分を目指しましょう。ジョギング、早歩き、ハイキング、中強度のサイクリング、水泳、ボート、または強度の高いヴィンヤサヨガのクラスなどがお勧めです。 

詳細を見る:心拍数ゾーンとは?

ゾーン2トレーニングに期待できる効果

ゾーン2トレーニングは、人によっては楽に感じるかもしれません。しかし、このタイプの運動にも健康上のメリットがあります。Altini博士は、「適切な状況で、目的に合わせて取り入れれば、どの強度のトレーニングにもメリットがある」と説明しています。

「初心者がこの強度でトレーニングすると、VO2 maxだけでなく、代謝の健康も改善できます。一方、上級者やトップアスリートは、心血管系への負担や怪我のリスクを抑えながらトレーニング量を増やすために、低強度のトレーニングを利用できます」とAltini博士は述べています。

より科学的な観点から言うと、ゾーン2の有酸素運動は有酸素運動に適応する土台をつくり、ミトコンドリアの発達や酸素の供給、毛細血管の密度向上を促します。そのため、健康状態やトレーニングレベルに関わらず、ゾーン2の運動を取り入れることで心肺機能が強化され、トレーニングに応じたVO2 maxの向上につながる土台が作られます。

ステップ2:インターバルトレーニングを取り入れる

Oura Ringを装着して運動する男性

数週間、継続的にゾーン2トレーニングでしっかりとした有酸素運動の基礎を築いたら、インターバルトレーニングをルーティンに加えましょう。

HIIT(高強度インターバルトレーニング)とも呼ばれるインターバルトレーニングは、高強度の運動(例:ゾーン3〜5)と低強度の回復時間を交互に行うトレーニングです。 

何よりも良いところは、たくさん行う必要はない点です。インターバルトレーニングセッションを週に1回行うだけでも、十分な効果が得られます。2019年のメタ分析によると、VO2 maxの向上に効果的なインターバルトレーニングとして、HIITを週1〜2回、少なくとも4週間、できれば12週間続ける方法が示されています。

インターバルトレーニングを取り入れる方法

初心者向け: フィットネス初心者の方は、ゆっくりと始めるようにとAltini博士はアドバイスしています。心血管系はすぐに適応しますが、筋肉や腱が新しいトレーニングルーティンに慣れるまで、もう少し時間が必要です。怪我のリスクを最小限に抑えるために、強度は徐々に上げていきましょう。

しかし、安心してください。努力すれば必ず結果はついてきます。研究によると、最大心拍数(MHR)の約60%で実施する低強度のインターバルワークアウトであっても、座りがちな生活を送る人のVO2 maxを改善できることが示されています。

実践方法:週に1回のインターバルトレーニングを目指しましょう。高強度運動を20秒間行い、続いて休息(静止または軽い動き)を40秒間行います。これを5回繰り返します。これをトレッドミル、ランニングコース、ローイングマシン、エアロバイクで行うことができます。

中級者/上級者向け:

1.ノルウェー式4×4プロトコル

ノルウェーの研究者によって開発されたこのプロトコルは、急速にVO2 maxを向上させることが示されています。ある研究では、過体重の人がこの方法を用いてわずか6週間でVO2 maxが10%向上したことが報告されています。

実践方法:高強度の運動(最大心拍数の85〜95%)を4分間行い、続いて低強度の回復(最大心拍数の60〜70%)を3分間行います。これを4回繰り返します。

2.乳酸閾値インターバルトレーニング

乳酸は、激しい運動中に筋肉内に蓄積される無酸素代謝の副産物です。乳酸レベルの上昇は、疲労の始まりを告げるサインとなり、高強度の運動を維持する能力が制限されます。 

乳酸閾値トレーニングは、体が乳酸をより効率よく処理する能力を高め、より高い強度の運動を長く続けられるようにします。このトレーニングは、基礎体力が十分にあるアスリートに特に効果的です。乳酸の蓄積によって運動が続けにくくなるタイミングを遅らせることで、持久力やパフォーマンスの向上につながります。

実践方法:高強度運動を10分間行います(最大心拍数の85〜90%、つまり「乳酸閾値」を目指しましょう)。3分間休憩し、軽い運動で心拍数を落ち着かせます。これを3〜5回繰り返します。

インターバルトレーニングに期待できる効果

インターバルトレーニングは、心血管系が酸素をより効率よく運び、利用できるようにすることで、VO2 maxを向上させます。これは、一回拍出量を高める、つまり心臓の1回の拍動でより多くの血液を送り出す能力を高めることで実現されます。これにより、酸素を豊富に含んだ血液が筋肉に効率よく届くようになります。

研究によると、8週間のインターバルトレーニングプログラムにより一回拍出量が10%増加し、同じ運動強度でも心拍数が低下することが示されています。さらに、高強度インターバルトレーニングは、心拍出量を増加させ、全身の血流や酸素供給を高めます。これにより、毛細血管密度とミトコンドリアの機能が向上し、筋肉の働きもより効率的になります。


VO2 maxに関するよくある質問

VO2 maxを向上させるには、高強度インターバルトレーニング(HIIT)は中強度の一定ペースの有酸素運動よりも効果的ですか?

HIITの方がVO2 maxの改善効果が高いようです。『European Journal of Preventive Cardiology』に掲載された研究では、冠動脈疾患の患者を対象に10週間の試験を行った結果、HIITを行ったグループではVO2 maxが17.9%向上したのに対し、中強度のトレーニングを行ったグループでは7.9%の向上にとどまりました。

ただし、個人差もあります。HIITはVO2 maxをより大きく向上させる効果が期待できる一方で、身体的にも精神的にも負担が大きく、燃え尽き症候群や怪我のリスクを高める可能性があります。一方で、低強度の運動は長期的な持久力や心血管の健康に欠かせない有酸素運動の基礎作りに役立ちます。そのため、初心者や特定の健康状態にある人にとってはより適した選択肢となります。

VO2 maxを向上させるにはどのくらいの時間がかかりますか?

VO2 maxを向上させるためにかかる時間は、開始時の状態によって異なります。多くの臨床試験で、6〜10週間は継続的にトレーニングを行うことで改善が見られています。OuraでVO2 maxが「低い」と判定されている場合、わずか数週間で変化が見られるかもしれません。しかし、すでにVO2 maxが中または高い健康な状態にある場合、ノルウェー式4×4プロトコルなどの高強度プログラムを数か月間継続してようやく向上を実感できることもあります。


Ouraの専門家のご紹介

Marco Altini博士は、応用機械学習の博士号、コンピュータサイエンス工学の修士号、人間運動科学およびハイパフォーマンスコーチングの修士号を優秀な成績で取得しています。生理学、健康、テクノロジー、ヒューマンパフォーマンスの分野における50以上の論文と特許を発表しています。Altini博士は、HRV4Trainingの共同設立者です。また、Ouraのアドバイザー、アムステルダム自由大学の客員講師、および『IEEE Pervasive Computing Magazine』の編集者を務めています。博士は大のランニング好きです。