- 妊娠中は、母親になるために体に大きな変化が起こります。
- このような変化は、睡眠や体調だけでなく、心拍変動、体表温の傾向、安静時心拍数などOura生体情報にも表れます。
- Ouraメンバーのデータで、これらのパターンがどのように表れるかを見てみましょう。また、妊娠初期・中期・後期、それから産後に経験するその他の変化もご覧ください。
母親になる人は、妊娠期間を通して驚くべき変化を経験します。胎児の成長に合わせて体が適応するにつれ、睡眠パターンや生体指標も変化していきます。
Ouraのサイエンスチームは、妊婦の生体情報がどのように変化するかについて詳しく知るために、匿名化された集計データを収集しました。分析から、メンバーの心拍数、心拍変動(HRV)、体表温、呼吸数の傾向に明確なパターンが見つかり、それは既存の研究と一致する結果でした。
Ouraのデータ、サイエンス、およびプロダクトの各チームは、これらのパターンを活用することで、妊娠をトラッキングし、妊娠について理解する新しい方法を開発しました。妊娠インサイトこの新機能で、妊娠の経過(妊娠月齢)を追跡し、起こりうる生理学的変化に関する情報を毎週受け取れ、Ouraデータで確認することができます。
以下では、Ouraメンバーの妊娠初期・中期・後期、そして産後のデータにおける睡眠と生体情報のパターンについて紹介しています。
詳しく見る:妊娠インサイト:Ouraで妊娠をトラッキングし、詳細を確認しましょう
妊娠中、体にはどのような変化が起こりますか?
控えめに言っても、たくさんです!新しい命を育むために、数多くの驚くべき変化を遂げます。
身体が変化するにつれて、Ouraの生体情報も変化します。生体情報は、Ouraが追跡した生理学的データポイントで、心拍変動、心拍数、呼吸数、体表温の傾向などがあります。
これらの生体情報は、胎児の発育に伴い体が受ける変化に直接影響されます。例えば、血液量、心拍出量、代謝量の増加は、心拍数や体表温の変化に反映されます。
「覚えておいていただきたいのは、バイタルは妊娠期間を通して毎日変動するということです。」Ouraのウィメンズヘルス プロダクトマネージャーであり、臨床研究科学者のNeta Gotlieb博士はこのように述べています。「これはまったく正常なことです。妊娠中は毎日が違う日のように感じられるかもしれませんが、長期的な傾向からは、新しい命を宿しながら体がどう変わっていくのかをより深く知ることができます。」
メンバーへのアドバイス:Ouraアプリの傾向ビューを使用して、妊娠中の日ごと、週ごと、月ごとの生体情報の変化を追跡しましょう。 |
妊娠初期
睡眠の変化
一般的に、妊娠初期には起きている時間が長くなり、夜間に目が覚めることが多くなります。だからといって、実際に睡眠が短くなっているわけではありません。
実際、Ouraメンバーのデータによると、妊娠初期には合計睡眠が平均で約20分間増加しています。なぜでしょうか?Gotlieb博士によると「ベッドで過ごす時間が長くなるから」です。
Ouraメンバーの妊娠初期におけるデータのパターン
生体情報の | 変化 |
体表温の傾向 | 受胎直後に上昇 |
呼吸数 | 増加 |
心拍数 | 受胎後に急上昇し、その後わずかに低下 |
心拍変動 | 受胎後に低下し、その後上昇 |
そのほかに起こりうること
- 日中の眠気:プロゲステロンは、胚の着床と初期発生のために子宮内膜を維持する重要な役割を果たしています。しかし、このホルモンの急激な上昇には鎮静作用もあり、従って日中に眠くなります。
- 頻尿:エストロゲンのレベルは、体内で生産される血液が増えるため、上昇します。また、のどの渇きや尿意を感じることが多くなり、睡眠が妨げられることもあります。
- つわり:最大80%の女性が妊娠初期に吐き気や嘔吐を経験します。つわりは英語で「モーニング シックネス(morning sickness)」と呼ばれますが、その名に反して、昼夜を問わず起こります。ある研究で、吐き気や嘔吐がある女性は、夜間の覚醒、日中の疲労感早朝の覚醒、寝つきが悪くなることが増加することが判明しています。
詳しく見る:疲れているのに眠れませんか?考えられる5つの理由
メンバーの体験談:2人目を妊娠した時、LauraさんはOuraで妊娠を知り、アクティブに過ごす日を計画したり、自分の体とさらに向き合うことができました。 |
妊娠中期
睡眠の変化
夜間の覚醒は妊娠中期まで続きます。Ouraのデータから、合計睡眠時間がわずかに減少し、エストロゲンの上昇により、多くのメンバーがレム睡眠が長くなっていることがわかっています。
Ouraメンバーの妊娠中期におけるデータのパターン
生体情報の | 変化 |
体表温の傾向 | 低下 |
呼吸数 | 低下 |
心拍数 | 一様に上昇 |
心拍変動 | 一様に減少 |
そのほかに起こりうること
- エネルギーがより安定:妊娠中期に入ってもホルモンは変化していますが、妊娠初期や妊娠後期に比べて劇的な変化ではありません。そのためエネルギーレベルが改善されるかもしれません。日中の昼寝が減り、夜眠りやすくなることがあります。
- 快適に過ごせない:リラキシンは妊娠初期に分泌されるホルモンで、妊娠中期の始めにピークに達します。リラキシンは、その名のとおり骨盤内の靭帯や組織を緩める働きがあり、出産を容易にし、腰を外側に変位させる作用があります。関節の柔軟性が増加するため、特に夜間に痛みや不快感を引き起こすことがあります。
- はっきりした夢を見る:夢はレム睡眠中に見るもので、妊娠中期になるとエストロゲンのレベルが上昇するため、夢を見ることが増える可能性があります。悪夢を見ると睡眠が妨げられることもありますが、夢を見ることで、感情を調整する、ストレスを軽減するなどのメリットがあります。
妊娠後期
睡眠の変化
Ouraメンバーのデータによると、妊娠後期になると、起きている時間が平均でさらに10分程長くなり、結果として合計睡眠が短くなることがあるようです。
Ouraメンバーの妊娠後期におけるデータのパターン
生体情報の | 変化 |
体表温の傾向 | 安定し、出産直前に急上昇 |
呼吸数 | 比較的一定 |
心拍数 | 上昇を続け、出産数週間前にわずかに減少 |
心拍変動 | 低下を続け、出産の数週間前にわずかに上昇 |
そのほかに起こりうること
入眠困難:約64%の妊娠中の女性が、妊娠後期に不眠を経験し、98%の女性が夜中に目が覚めると報告しています。睡眠不足は日中の気分やエネルギーに影響を与えます。
- ストレスや不安の増大:ある研究によると、88%の女性が妊娠後期に出産に対して中程度の不安を抱えていることがわかりました。その対策として、呼吸法や瞑想など、ストレスを緩和する習慣を取り入れてみましょう。OuraとHeadspaceを使った最近の研究では、呼吸法や瞑想により一般的な不安や妊娠前後の不安感を軽減することがわかっています。
- 「巣ごもり」と期待:妊娠中の「巣ごもり」とは、赤ちゃんのために家や環境を整えたいという本能的な衝動を指し、妊娠後期にピークを迎えます。この期待感と気分の高揚によりエネルギーがもたらされますが、休憩を取り入れながら、無理しすぎないようにしましょう。
産後
睡眠の変化
Ouraメンバーのデータによると、嬉しいことに実際の睡眠時間は出産後にゆっくりながらも、確実に回復し始めます。ただし、覚醒時間は出産の前後に急増します。
Ouraメンバーの産後におけるデータのパターン
生体情報の | 変化 |
体表温の傾向 | 産後に低下 |
呼吸数 | 下がる |
心拍数 | 下がる |
心拍変動 | 上昇する |
そのほかに起こりうること
- 24時間365日の育児:新生児は、最初の数週間は2~4時間おきに授乳する必要があります。ミルクを飲ませた後、新米の親は子どもを寝かしつけるのが難しいと感じるかもしれません。また、自分もなかなか寝つけないと感じるかもしれません。こういった問題がすべて、睡眠不足につながります。
- ホルモンレベルの低下による気分の変化:出産後には、エストロゲンとプロゲステロンのレベルが急激に減少し、その影響は気分や意欲に及びます。これが新米ママには寂しい気持ち、イライラ感、不安感、無気力の原因となることがあります。こうしたホルモンレベルの変化により、寝汗をかいたり、産後の不眠症になることがあります。症状がひどくなり、数週間以上続くようであれば、医療機関に相談してください。
- 絆を深めるとき:いよいよ赤ちゃんが誕生し、多くの親が スキンシップ、一緒に昼寝、母乳育児をして赤ちゃんとの絆を深めます。これらは、親と子の双方に愛情ホルモンであるオキシトシンを分泌させます。
- 新たな対処戦略:こうした変化に、特に初めて親になった場合は、圧倒されてしまうかもしれません。だからこそ、できる限り助けやサポートを求めることが重要だとGotlieb博士は指摘します。近所の人からの夕食の差し入れを受けたり、昼寝をしている間に洗濯物をたたんでくれるようパートナーに頼んだり、新米の親をサポートするコミュニティを探したりしましょう。
詳しく見る:新米パパとママのための睡眠入門
初期・中期・後期ごとの生体情報の傾向
心拍変動
心拍変動は受胎後に低下する傾向があり、その後、妊娠初期にわずかに上昇します。それから心拍変動は徐々に低下し、出産の数週間前に上昇します。
心拍数
心拍数は通常、受胎後に急上昇し、その後わずかに低下します。通常は、出産の数週間前まで徐々に上昇し、その後再び低下します。
呼吸数
呼吸数は通常、妊娠初期に増加し、妊娠中期に減少します。通常、妊娠後期になると、呼吸数の減少は落ち着きます。
体表温の傾向
体表温の傾向は、受胎後の妊娠初期に上昇する傾向があります。通常、妊娠中期に減少し、妊娠後期には安定しますが、出産直前になると急上昇します。
Ouraの専門家のご紹介
Neta Gotlieb博士(Ph.D)はŌURAのプロダクトマネージャー、以前は元臨床研究主任として、女性の健康に焦点を当てたソリューションの研究開発に携わっています。Gotlieb博士は、テルアビブ大学で生物学的心理学の修士号を取得し、ストレスが免疫機能や内分泌経路にどのような影響を与えるかについて研究しました。また、カリフォルニア大学バークレー校で生殖神経内分泌学および月経周期、妊娠、出産の概日調節についての研究に携わり、博士号を取得しています。Women in Tech Global Technology Leadership Award、Women of Wearables’s Trailblazing Leaders in Women’s Health and FemTechを受賞しています。