健康な心臓は、メトロノームのように規則正しく鼓動しているわけではありません。実際、心臓は鼓動のたびにリズムを変えています。心拍変動とは、心拍間に絶えず発生しているミリ秒(ms)単位の変動を測定した値です。
状況によって、変動が大きくなる(心拍変動の値が高くなる)こともあれば、鼓動間の間隔が一定に近い状態で保たれる(心拍変動の値が低くなる)こともあります。
これは微細な変動かもしれませんが、様々な状況に対応する心臓の能力を反映しています。心拍変動は、安静時心拍数(RHR)よりも前にストレスや病気に反応することがあるため、最も説得力のある体の信号の一つであると言えます。そして、ストレスレベル、回復状態、全般的なウェルビーイングに関する役立つインサイトを提供します。
詳しく見る:Ouraによる心拍数と心拍変動の測定はどの程度正確ですか?

心拍変動と神経系
心拍変動は、あなたの自律神経系(ANS)、とりわけ副交感神経系(PNSまたは休息・消化系)と交感神経系(SNSまたは闘争・逃走系)のバランスに関連しています。
この2つの力のバランスをとることで、自律神経系は日々のストレス要因に対応し、心拍数、呼吸、消化など、体にとって最も重要なシステムの一部を調節しています。
心臓は、洞房(SA)結節と呼ばれる生来のペースメーカーのおかげで、独自のリズムで鼓動しています。SAによって、心臓は1分間におよそ100回の拍動を繰り返しています。
しかし、自律神経系(ANS)は心臓の鼓動に大きな影響を与えます。このように考えてみてください。心臓のペースメーカーを構成するすべての細胞は、自律神経系のそれぞれ(交感神経系と副交感神経系)とつながる電話線のようなものを持っています。それを通じてどちらからも、鼓動ごとに、細胞レベルで心臓に情報を送られてくるのです。
- 休息・消化系(副交感神経系)が心臓に速度を下げるよう指示すると、鼓動間の変動に余裕ができます(高めの心拍変動)。
- 闘争・逃走系(交感神経系)は心臓に速度を上げるよう指示し、変動のスペースを制限します(心拍変動の低下)。
休息・消化系と闘争・逃走系は、休止したり、稼働したり、あるいは互いをけん制し合ったりしています。この数多くのやりとりから、様々な変動が生まれます。
心拍変動が高い/低いの意味は?
大まかな指標として、以下のように考えることができます。
- 高めの心拍変動は、休息・消化、全般的な体の健康、良好な回復に関連
- 低めの心拍変動は、闘争・逃走反応、ストレス、病気、オーバートレーニングに関連
ただし、心拍変動は個人に特有の数値であることにご留意ください。心拍変動の「高い」と「低い」には個人差があり、非常に敏感な指標です。心拍変動のスコアが安定している人もいれば、大きく変動する人もいます。
心拍変動が日ごとや季節ごとに変動するのは普通のことです。
心拍変動は改善できますか?
はい、健康的な生活習慣に重点的に取り組むことで心拍変動を改善できます。ただし、年齢や遺伝といった、あなたのコントロールの及ばない特定の要因もあります。
自分で変えられないこと
- 遺伝的な要因:遺伝的構成はベースラインの心拍変動を決定する上で重要な役割を果たします。遺伝子に違いがあるということは、自律神経系に個体差があることを意味し、それが心拍変動パターンの個人差につながります。その結果、生まれつき心拍変動が高い人も低い人もいるのです。遺伝的素因は変えられませんが、心拍変動のベースラインを理解するのに役立つことはあります。
- 年齢:心拍変動は年齢とともに変化します。一般的に、心拍変動は加齢とともに低下する傾向があります。この低下は、自律神経系と心臓機能の加齢に伴う様々な変化に起因しています。とはいえ、特定の年齢層内でも、心拍変動には個人差があります。
- ホルモン周期:ホルモン周期は、特に女性の心拍変動に影響を与える可能性があります。月経周期や、エストロゲンやプロゲステロンなど性ホルモンの変動は自律神経系に影響を与え、その結果、心拍変動にも影響を与える可能性があります。月経周期のフェーズによって心拍変動が変化するのはよくあることです。
- メンタルヘルスと感情:ポジティブな感情やリラックスした状態は心拍変動を上昇させることが分かっており、自律神経系の柔軟性と適応力が向上します。逆に、不安やストレスは心拍変動を低下させ、自律反応の回復を遅らせます。
- 病気:心血管疾患、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患など特定の病気や健康問題は、心拍変動に影響を与える可能性があります。病気のときは、生理的ストレスに対する体の反応により、心拍変動が低下する場合があります。
詳しく見る:心拍変動とストレス:心拍変動から分かる心の健康
自分で変えられること
- 就寝前のルーチン:サーカディアンリズムや睡眠・覚醒サイクルなどの体内生物リズムは、心拍変動に影響を与える可能性があります。例えば、十分な安眠を促す睡眠・覚醒サイクルは心拍変動の改善につながりますが、睡眠障害や睡眠不足は心拍変動の低下につながる可能性があります。幸いなことに、体の自然なリズムにライフスタイルを合わせることで、就寝前のルーチンを整え、結果的に心拍変動も改善することができます。
- 環境要因:空気の質、温度、標高などの環境要因は、心拍変動に影響を与える可能性があります。
- 薬やサプリメントなど:様々な薬やサプリメントなどに含まれる成分が自律神経系に影響を与え、結果的に心拍変動にも影響を与える可能性があります。例えば、アルコールやカフェインなどの刺激物や特定の薬物は交感神経活動を亢進させ、心拍変動を低下させる可能性があります。
- ライフスタイル:身体活動、睡眠の質、ストレス管理、水分補給、食習慣など、あなたのライフスタイルの選択はすべて、あなた独自の心拍変動パターンに反映されます。つまり、心拍変動バランスは、ある程度は自分でコントロールできるということです。
| メンバーの声:Ouraアプリを使用することで、Jussi Lさんはアルコール摂取が睡眠の質と心拍変動に悪影響を及ぼしていることに気づきました。Ouraのインサイトを活用し、Jussiさんは食事と夜のルーティンを調整した結果、心拍変動が改善しました。彼は「アドバイスをすべて実行したところ、Ouraのデータが改善し始めました。一時は心拍変動が60まで上がり、私の年齢としては素晴らしい数値でした」と話しています。 |
正常な心拍変動とは?
成人の正常な心拍変動は、20ミリ秒未満から200ミリ秒を超えるまでの範囲にあります*。ご自身の正常な心拍変動の範囲を判断する最も良い方法は、睡眠のような管理された環境で心拍変動を測定し、数週間にわたって基準値を確立するウェアラブルを使用することです。
他のOuraメンバーの心拍変動スコアにも興味がありますか?こちらに、Ouraコミュニティのデータ分析結果をご紹介しています。この分析により、Ouraメンバー全体の正常な心拍変動スコアの範囲や、年齢層や性別ごとの興味深い傾向が明らかになりました。Ouraメンバーの平均心拍変動の詳細については、このブログをご覧ください。
心拍変動が変動するのは正常なことですか?
はい、心拍変動は非常に敏感な指標です。Ouraアプリには、追跡に役立つ短期および長期の指標として、日中および夜間の平均心拍変動、心拍変動バランス、数か月にわたる心拍変動があり、傾向ビューにアクセスして確認できます。
心拍変動の説明の中には、数値が高ければ常に良く、低ければ常に悪いと単純化しすぎているものを見かけますが、実際ははるかに複雑であることにご注意ください。
一般的に高い心拍変動はプラスと考えられていますが、状況によっては低い心拍変動が必要で、望ましいことさえあるのです。例えば、激しい運動中に心拍変動が低くなるのは、闘争・逃走系が適切に優位に働き、アクティビティのために心拍数を上げようとしているからです。その後、休息・消化系が働いて回復を促すため、心拍変動が戻ります。
体は日々さまざまなストレス要因に直面しているため、このような変動が一日を通して起こります。興奮したり、ソファからトイレに移動したりするだけでも、心拍変動は変化するのです。
日中の心拍変動を測定することで、このような瞬時の変化に対する体の反応を把握することができます。長期的な生理状態を把握したい場合、心拍変動の測定に最適なのは睡眠中です。
夜間、体は一貫した状態にあり、食事、社会的交流、環境の変化などの影響も受けません。ウェアラブルの中には、測定値に関して同一条件で比較を行うものもあります。しかし、日中の測定では、あなたのベースとなる自律神経系のバランスが隠れてしまう可能性があるという注意点を見落としています。
心拍変動をモニタリングすることで、生産性を最大限に高め、ストレスを管理し、トレーニングのプログラムを微調整することができます。
一晩の心拍変動の測定値から次のようなインサイトを得ることができます。
- 高めの心拍変動スコア:休息日、涼しい寝室、ハイキングやヨガなど「マインドフル」な低/中強度のアクティビティを反映
- 低めの心拍変動スコア:脱水、アルコール、遅い食事や運動、病気、高強度のワークアウト、強いストレス、室温の高い寝室などを反映
心拍変動が日によって大きく変わることに気づくかもしれません。パターンを見つけたい場合は、心拍変動の傾向に注目しましょう。
詳しく見る:心拍変動を改善するには
心拍変動:よくある質問
心拍変動とは?
心拍変動とは、心拍間に自然に生じるミリ秒単位の変動を指します。これは、体がストレスにどれだけうまく適応し、回復できているかを表す、神経系のバランスを示す重要な指標です。
心拍変動の単位のミリ秒とは?
心拍変動の測定値は、ミリ秒(ms)単位で表されます。これは心拍ごとに生じるごくわずかの、健全な時間差を反映しています。
良好な心拍変動とは?
心拍変動は非常に個人差があるため、「良好」という単純な基準はありません。健康的な心拍変動レベルは個人により大きく異なります。最も重要なことは、長い期間で見て、ご自身の平均値を追跡することです。とはいえ、心拍変動が良好であるとはどういう状態か、また健康的な心拍変動とは何か疑問に思われるかもしれません。一般的に、心拍変動が高めであれば休息や回復の状態を示し、心拍変動が低めの場合はストレス、病気、または疲労のサインとなる可能性があります。
正常な心拍変動とは?
正常な心拍変動は、20ミリ秒未満から200ミリ秒超まで幅があります。とはいえ、心拍変動が18ミリ秒であっても、必ずしも警告サインというわけではありません。Ouraメンバー全体の平均心拍変動は41ミリ秒ですが、心拍変動の値や範囲は日々変動します。このグラフが示すように、心拍変動は高齢者よりも若年層の方がはるかに高い傾向にあることがわかります。心拍変動の値がどうあるべきか疑問に思われるかもしれませんが、非常に個人差があることを念頭に置いておくとよいでしょう。
詳細を見る:平均心拍変動とは?
心拍変動スコアとは?
Ouraは睡眠中の心拍変動を測定します。毎朝、Ouraアプリを開くと、睡眠中の平均心拍変動が表示されます。Ouraでは、これを「Oura心拍変動スコア」と呼びますが、Oura以外では、心拍変動レベルや心拍変動ステータスと呼ばれることもあります。
心拍変動に影響を与える要因
心拍変動に影響を与える要因は数多く存在し、遺伝や年齢、ホルモン周期など、自分でコントロールできないものもあります。ただし、健康的な習慣を通じて心拍変動に良い影響を与えることは可能です。質の高い十分な睡眠、ストレス管理、定期的な運動、水分補給はすべて、心拍変動の改善に役立ちます。
心拍変動が変動する理由
心拍変動が一日の中で、あるいは日ごとに変動するのはまったく正常なことです。これらの変化は、様々な活動やストレスに対する体の自然な反応の表れです。例えば、激しい運動中は心拍変動が低下し、その後、体が回復するにつれて再び上昇します。








