• 睡眠中に心拍変動が低くなるのは、ストレス、アルコール、基礎疾患など、さまざまな要因が考えらます。
  • 睡眠中の心拍変動が低いと、入眠潜時が長くなり睡眠の質が低下します。
  • 生活習慣を整え、医療従事者に相談することは、睡眠中の心拍変動を改善するのに役立ちます。

心拍変動(HRV)からは、健康について多くのことが分かります。具体的には、精神的および身体的なストレスに対して体がどのように反応するかを知ることができます。 

心拍変動とは、心拍と心拍の間に生じる自然な変動のことで、呼吸数から消化器系に至るまで、すべてをコントロールする自律神経系(ANS)と密接なつながりがあります。 

風に揺れる高層ビルのほうが高所の風圧に耐えられるように、心拍変動の高い心臓は、より機敏で、ストレスにもうまく対応できます。

一般論として次のことが言えます。

  • ベースラインとの比較して心拍変動が高い場合、副交感神経の活動、全般的な体力、回復力の高さとの関連が考えられます。研究では、夜間の平均心拍変動の測定値が高いほど、睡眠の質が高いことが示されています。
  • ベースラインの比較して心拍変動が低い場合、交感神経の活動、ストレス、病気、オーバートレーニングとの関連が考えられます。

とはいえ、心拍変動には個人差があり、年齢、全体的な健康状態、服薬、睡眠障害などの要因が、これらのパターンに影響を及ぼす可能性があることを覚えておきましょう。心拍変動について不安がある場合は、医療専門家に相談し、あなた個人に特化した評価と助言を受けることが最善です。

メンバー向けヒント: 月経周期があるOuraメンバーは、周期の後半、つまり黄体期に心拍変動が低下するのが分かるかもしれません。

詳しく見る:心拍変動とストレス:心拍変動から分かる心の健康

Ouraによる心拍変動の測定方法:Oura Ringの精度

医療現場では、心拍変動は心電図(ECG)を用いて測定されます。ECGは、胸部に取り付けたセンサーを用いて心臓の電気的活動を測定します。一方、Ouraのようなウェアラブルトラッカーは、心拍変動を測定して長期的な傾向を追跡する、手軽で素早く、使い勝手の良い方法です。 

さらに、Ouraの測定は正確であることが証明されています。2020年の研究では、Ouraの心拍変動測定を医療用ECGと比較し、一致度が極めて高い(r² = 0.980)ことが確認されました。

Ouraは、あなたの体がストレスにどのように反応するかをできるだけ完全に把握できるように、一晩中、心拍変動を分単位で測定します。その理由は、睡眠段階が変化するにつれて心拍変動も変化するためです。睡眠中絶え間なく心拍変動を測定することで、あらゆる種類のストレスに対する体の反応を把握することができます。 

さらにOuraでは、タグ機能と傾向機能により、さまざまな生活習慣の要因が心拍変動にどのような影響を与えるかを把握し、経時的な変化を追跡することで、習慣を見直して心拍変動を改善できます。

メンバーの声:OuraメンバーのJussi L.さんは、ジムでのハードなセッションの代わりに夜の散歩を始めたところ、心拍変動が約40から60に上がったことをOuraのデータを見て発見しました。

動画:傾向で自分のタグを見る方法

睡眠中、心拍変動に起こること

心拍変動はサーカディアンリズムと連動しており、一日を過ごす中で、また睡眠段階が移行するにつれて変化します。一般的に、平均心拍変動が夜間に高くなるのは、睡眠が副交感神経系に関連した回復活動だからです。

ここでは、睡眠の各段階で心拍変動がどのように変化するかを説明します。

1. 覚醒

起きて活動しているときの心拍変動は、その日のストレスや身体的な活動のレベルによって変化します。

2. ノンレム(NREM)睡眠

ノンレム睡眠には2つの段階があり、それぞれ心拍変動に異なる影響を与えます。

  • 浅い睡眠(ステージN1とN2):浅い睡眠段階では、心拍変動は比較的安定しているか、覚醒時に比べてわずかに低下します。しかし、それでも大抵は適度な範囲に留まっています。
  • 深い睡眠(ステージN3とN4):徐波睡眠とも呼ばれるこの段階は、心拍数が遅く、心拍変動が低いことが特徴です。深い睡眠は、リラックス、身体的な修復、疲労回復を促進するため、この睡眠を十分に取ることで心拍変動を高めることができます。
Sleep more soundly and feel more refreshed with Oura
Shop Now

3. レム(REM)睡眠

レム睡眠中は、鮮明な夢を見たり、脳の活動が高まったりするため、心拍変動は通常、ノンレムの睡眠段階に比べて高くなります。

メンバー向けヒント:Ouraメンバーは、Ouraアプリの睡眠タブから自分の睡眠段階ヒプノグラムを確認することができます。睡眠段階ヒプノグラムを見て、各睡眠段階にどれだけの時間を費やしているかや、それが心拍変動にどう対応しているかをチェックしてみましょう。例えば、深い睡眠が十分に取れていないと、心拍変動にマイナスの影響が出ることに気づくかもしれません。

関連記事:深い睡眠を得るためにOuraメンバーが実践していること

睡眠中の低い心拍変動が意味すること

睡眠中の心拍変動が一貫して低いということは、一晩を通して心拍間の時間間隔の変動が少ないことを示しています。これは、睡眠中に自律神経系が最適に機能していないことを示すサインです。心拍変動に影響を及ぼす生活習慣の要因や何らかの健康状態があることを示唆している可能性があります。 

夜間の心拍変動が低い原因として、以下のことが考えられます。

1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸の一旦停止を繰り返すことを特徴とする、一般的な睡眠障害です。このような中断により睡眠が断片的になり、体にストレスがかかるため交感神経系の活動が亢進し、心拍変動が低下します。 

例えば、睡眠時無呼吸症候群の人が呼吸の一時停止を経験すると、体は正常な呼吸を取り戻すために短時間目を覚ますことで反応し、睡眠障害を引き起こして心拍変動に影響を与えます。さらに、血液中の酸素濃度が最適でない可能性もあり、この場合も心臓に負担がかかり、心拍変動が低下します。

Oura Ringは睡眠時無呼吸症候群を検出できますか?

Oura Ringは睡眠時無呼吸症候群の診断には使用できませんが、睡眠の質に関する有益なインサイトを得ることができます。睡眠時無呼吸症候群の方は、深い睡眠やレム睡眠が減少することがあり、Ouraアプリでは過度の覚醒時間として報告されることがあります。

Ouraメンバーは、血中酸素ウェルネス測定(SpO2)機能を使用して、平均を下回る血中酸素濃度や不規則な呼吸を追跡することができます。心配なことがあれば、かかりつけの医師にご相談ください。

2. 慢性的なストレス

大切な方との死別や、離婚、職場でのいじめなど、長く続く精神的に疲れる状況は、慢性ストレッサーと呼ばれます。 

ストレスがつかの間のことである場合、心拍変動は一時的に低下し、その後通常のレベルに戻るでしょう。しかし、ストレスが慢性化すると、交感神経系が過剰に活性化し、安静時心拍変動が抑制されます。

メンバー向けヒント: 日中のストレス機能を使って、Ouraでストレスをモニタリングしてみましょう。さらに、レジリエンス機能を使って、生理的ストレスと回復のバランスがどの程度取れているかを調べることもできます。

3. 炎症または感染症

例えば、自己免疫疾患、慢性疾患、病気など、炎症や感染を伴う状態は、心拍変動に影響を及ぼす可能性があります。単なる風邪やインフルエンザでも心拍変動は低下します。体が病原体を排除しようと働くためです。

4. アルコールと薬

飲酒は自律神経系を抑制し、心拍変動に多大にマイナスの影響を及ぼします。Ouraデータの分析によると、飲酒後は平均心拍変動が12%低下することが明らかになっています。

詳しく見る:アルコールがOuraメンバーに与える影響

さらに、ベンゾジアゼピン系睡眠薬などの一般的に処方される一部の薬は、睡眠中の心拍調節に影響を及ぼし、心拍変動を低下させる可能性があります。

5. 病気の可能性

安静時の心拍変動の低下は、次のような身体的または精神的な健康状態を示す症状である可能性があります。

これらの症状について心配な場合は、診断や管理のため医療機関にご相談ください。

睡眠中の心拍変動を高める方法

研究結果によると、睡眠時間と心拍変動の間にはほとんど関係はないものの、心拍変動が低いと入眠潜時(入眠に要する時間)が長くなり、睡眠の質が低下することが分かっています。したがって、睡眠の質を向上させるための対策を講じることは、安静時の心拍変動にプラスの影響を与え、またその逆も同様で、健康全般に影響を与えることになります。

次ことをいくつか試してみてください。

1. 就寝前の習慣を改善

一貫した就寝前のルーティンを確立し、睡眠に適した環境を整えることで、睡眠の質が向上し、心拍変動にプラスの影響を与えられる可能性があります。

寝る前はスクリーンを観ることを避け、寝室を涼しく、暗く、静かに保ち、規則正しい睡眠スケジュールを維持しましょう。

詳しく見る:睡眠衛生を改善する5つの方法

2. ストレスレベルを管理

ストレスと心拍変動は密接に関連しているため、ヨガ、瞑想、深呼吸などのストレス対処法は、夜間の心拍変動の改善に役立ちます。これらの活動はすべて副交感神経系を活性化させ、緊張をほぐして安眠を得るのに役立ちます。

Ouraアプリの探索コンテンツで、ガイド付き瞑想と呼吸法のライブラリにアクセスし、各セッション後にバイオフィードバックデータを受け取ることができます。この情報を基に、あなたにとって効果的な方法を日常に取り入れたり、ストレス管理に役立ててください。

詳しく見る:深く安らかな眠りに誘う、Ouraのガイド付き瞑想

3. 定期的な運動

定期的な運動により、心血管系と全体的な体力を強化できます。激しい運動中は心拍変動が一時的に低下するものの、研究によれば、長期的に見ると運動によって心拍変動が改善され、心臓の健康が増進されることが明らかになっています。

4. 健康的なライフスタイルを選ぶ

バランスの取れた食事を心がけ、アルコールやカフェインの過剰摂取を避け、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を管理することで、全体的な健康状態を改善することができ、ひいては睡眠中の心拍変動を高められる可能性があります。

5. 病気の治療を受ける

睡眠中の心拍変動の低下に病気が関わっていると思われる場合は、医療専門家に相談して適切な治療を受けることが重要です。 

例えば、睡眠時無呼吸症候群が原因で睡眠が中断され、心拍変動が低下している場合は、持続陽圧呼吸器(CPAP)を使用して夜間の呼吸を改善することを勧められるかもしれません。

詳しく見る66歳のOuraメンバーが心拍変動を2倍にし、健康を改善した方法