- 光を浴びることで、サーカディアンリズム(体内時計)が調整されます。
- 起床後30~60分の間に意図的に日光を浴びることで、意識が高まり、気分が高揚し、ストレスを抑え、睡眠の質が向上することが分かっています。
- Ouraメンバーは、「朝日浴」とタグ付けして、それが毎日の睡眠スコアとコンディションスコアにもたらす影響を確認することができます。
あまりに出来すぎた話に聞こえるかもしれませんが、朝、日光を目に浴びるだけでも、健康に大きな変化を起こせるかもしれないのです。
朝日を浴びるとエネルギーレベルが上がるだけでなく、夜の睡眠も改善される可能性があります。また、朝日を浴びることで全身の健康が増進することが科学的に示唆されています。
その理由はひとつです。朝日を意識的に浴びることでサーカディアンリズムが調節され、心身ともに一日をスタートする準備が整うからです。これの良いところは、無料で実践でき、また研究によって裏付けられている点です。
メンバー向けヒント:日光浴が睡眠に与える影響を測定するには、Ouraのタグ機能を使って、朝日浴、夕日浴、光目覚まし時計などの習慣を追跡しましょう。 |
太陽とサーカディアンリズム
サーカディアンリズムは体の24時間の体内時計で、外部からの合図に反応するホルモンなど、生物学的プロセスによって調節されます。中でも最も影響力の強い合図は光を浴びることです。人間は太陽が昇ると目覚め、沈むと眠るようにできています。
言い換えれば、時計が発明される前は、光に対するこの体内の反応が時間管理の基本メカニズムだったのです。脳内で、光受容細胞が脳の視交叉上核(SCN)に信号を送ります。これは体内時計の中枢ペースメーカーです。
一日の中で、体が光に対して最も敏感になる時間帯が3回あり、それはおおよそ起床後1時間、就寝2時間前、夜間です。サーカディアンリズムを整えるために、この3つの時間帯を活用できます。
自然環境では、可視光線のスペクトルは一日を通して変化します。体内リズムを同調させるには、自然界に存在する光線スペクトルを反映した人工照明を使うか、制限することで、これを模倣することができます。
時間帯 | 光の種類 | 例 |
朝 | 白または青 | 朝日、LEDライト、蛍光灯、スクリーン |
午後 | 黄色とオレンジ | 空の低い位置の太陽光、オレンジ色の電球、ランプ |
夜 | 赤または暗闇 | 赤色電球、キャンドル、遮光ブラインド、アイマスク |
詳しく見る:ブルーライトが睡眠に与える影響
朝日浴の3つのメリット
1. 朝日浴で目が覚めやすくなる
朝、日光を浴びるとメラトニンが抑制され、コルチゾールが増加します。コルチゾールにはいわれのない噂もありますが、朝の目覚めには不可欠です。これはコルチゾール覚醒反応として知られています。実際、研究にて、起床時にコルチゾールレベルが低いことが疲労と関連していることが発見されています。
一方、睡眠を誘発するホルモンであるメラトニンのレベルは朝に低く、その後、一日を通して次第に上昇し、夜中にピークに達します。朝にメラトニンレベルが高いままだと、目が覚めるのに苦労することがあります。朝が暗い冬場は、この状態が起こりやすくなります。
詳しく見る:起床で疲れを感じる原因と、朝の目覚めを良くする方法
2. 朝日浴は睡眠の質を高める
日光によってサーカディアンリズムを調節することで、睡眠を改善できます。朝は、日光でメラトニンが抑制され、眠気が止まります。そしてメラトニンが増えるにつれ、夕方に疲れを感じ始め、眠りにつきやすくなります。実際、研究では、日光を浴びることで睡眠時間が長くなり、睡眠の質も向上し、早寝できるようになることが明らかになっています。
さらに、午後に日光を浴びると、空の太陽の位置に応じて黄色やオレンジ色の光を浴びることになります。これらの特定の波長によって概日(24時間周期)のタイミングが確立され、脳に「そろそろペースを落とそう」という合図を送ります。
メンバー向けヒント:前夜の入眠に要した時間を知るには、入眠潜時を見てみてください。これは睡眠スコアのコントリビューターのひとつで、眠る体勢になってから10~20分以内に眠りに入るのが理想的です。 |
3. 朝日浴で気分が高揚し、ストレスが軽減される
朝日を浴びると、ストレスホルモンであるコルチゾールが増加します。しかし反対に、このわずかなストレスの急上昇によって、実は一日の残りの時間のストレスレベルを下げることができるのです。これはホルミシス効果を促すストレス要因の一種で、ストレスに対するレジリエンスを高めてくれる有益なストレス要因です。
朝日によりコルチゾールが増加すると同時に、セロトニンを増やすなど、気分が高揚したり、思考が明晰になったりと、ポジティブな変化が連鎖的に発生します。セロトニンは気分を高揚させる化学物質で、後でメラトニンに変質します。
また、研究では朝の青い光には抗うつ効果があることが分かっており、季節性感情障害の治療法としても使われています。
メンバーの声:Ouraメンバーに、心拍変動(HRV)を改善する最も効果的な方法を尋ねてみたところ、一貫して日光浴が挙げられました。 |
その他のメリット
日光浴は、他にもさまざまなメリットに関連しています。
- 体内のビタミンD生成量の増加
- 湿疹などの皮膚疾患の治療
- うつ症状や、その他のメンタルヘルスの改善
- 認知機能の向上
- 食欲調整の可能性
ただし、午前中に短時間日光を浴びるだけでこのようなプラスの効果を引き出せるかどうかは、まだはっきり分かっていません。
日光浴を増やす5つのヒント(冬でも実践可能!)

- すぐにブラインドやカーテンを開ける。目が覚めたらすぐに、できるだけ多くの光を部屋に取り入れましょう。
- まずは5分から。スタンフォード大学の神経科学者であるAndrew Huberman博士は、晴れた日の朝は5~10分、曇りの日は15~20分日光浴をすることを勧めています。十分に光を得られない暗い朝には、できるだけ明るい室内灯をつけて効果を再現しましょう。
- 起床後30~60分以内に日光を浴びる。Huberman博士はこの時間内の朝日浴を勧めています。また、メラトニンの分泌を促進するために、午後の遅い時間にオレンジ色や黄色の光を浴びることを習慣化するのも提案しています。
- 光目覚まし時計の使用を検討するか、自然に任せる。早起きの人は、夜、ブラインドやカーテンを開けたままにしておくと、日の出とともに自然に目覚めることができます(夜間に窓の外が明るく、睡眠の妨げになる場合はやめましょう)。また、日照時間の短い冬の間は、目を覚ますのに十分な朝の光がないかもしれません。光目覚まし時計は、自分で指定した時刻に日の出を模倣する代替の方法です。
- 毎日の習慣を屋外で行う。一度に複数のことができるように、いくつかの習慣をまとめて行ってみましょう。例えば、屋外で朝の電話ミーティングをしたり、最初の一杯のコーヒーを飲んでみることができます。ストレッチをするにしても、ジャーナリングをするにしても、朝食を食べるにしても、屋外に出て一石二鳥を図りましょう。