Ouraは、精度を向上させることを念頭において、日々取り組んでいます。本日より、Ouraの新しい睡眠段階アルゴリズムをメンバーの皆様に順次展開しています。このアルゴリズムは、市販のウェアラブル機器で利用可能な睡眠段階アルゴリズムの中でも最も正確な部類に入り、睡眠の検査として最高水準である睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査にて、4段階の睡眠分類(覚醒、浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠)で79%の一致を達成しています。
このアルゴリズムの開発と研究には、これまでに収集された最大規模の睡眠データを用いて訓練された高度な機械学習技術が使われており、完成までに数年を要しました。
| このアルゴリズムは、市販のウェアラブル機器で利用可能な睡眠段階アルゴリズムの中でも最も正確な部類に入り、睡眠の検査では最高水準である睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)ラボ検査にて79%の一致を達成しています。 |
「この新しい睡眠段階アルゴリズムは、正確性と科学的検証を製品の中核とするOuraの姿勢と、深くパーソナライズされた健康インサイトを提供することでメンバーの健康の旅を応援し続けるという徹底した取り組みを体現しています」と、Ouraのサイエンス部門責任者であるShyamal Patel博士は述べています。
この取り組みについて詳しく知るため、OuraのサイエンスチームのRaphael Vallat博士(シニア機械学習データサイエンティスト、元カリフォルニア大学バークレー校睡眠研究者)、Gerald Pho博士(シニア機械学習データサイエンティスト)、およびXi Zhang博士(Health Sensing部門責任者)からお話を伺いました。
引き続き、科学者らが語る、新しい睡眠段階アルゴリズムの特長、メンバーが知っておくべき点、このプロセスで直面した課題、そこから得た成果についてお読みください。
詳しく見る:Oura Ringによる睡眠追跡の仕組み
新たな機能について
新しい睡眠段階アルゴリズムはこれまで以上に精度が向上していますが、従来のOuraの睡眠段階アルゴリズムも、ウェアラブル分野では最高レベルであることが独立した検証で確認されていますのでご安心ください。
新しいアルゴリズムは、さらにその基準を引き上げています。現在、Oura Ringは最も信頼されているPSGラボ検査と比較して、79%の一致率を示しています。これは驚くべき成果です。独立した研究によると、PSGを用いた4段階の睡眠段階の判定における人間の専門家同士の一致率は約88%、5段階の睡眠段階の判定における評価者間の一致率は約83%程度であることが分かっているからです。

さらに、すべての睡眠段階において、新しい睡眠段階アルゴリズムは、74%〜98%の高い感度、精度、特異度を示しています。他の研究でも特定の睡眠段階の検出について同様の結果が示されていますが、こういった性能向上は普通であれば、他の段階の検出精度を犠牲にして達成されるものです(例:深い睡眠の検出性能が高い場合、レム睡眠の検出能力が低下する可能性がある)。
つまり、Ouraの新しい睡眠段階アルゴリズムは、一晩を通してどの睡眠段階にいるかを、より高い精度で検出します。睡眠段階全体で感度が向上するということは、睡眠スコアだけでなく、コンディションスコアの精度も高まるため、その日の全体的な体調の整い具合がより明確に反映されます。
詳しく見る:Ouraの睡眠スコア
Ouraが特異な理由:データの多様性
睡眠中、Oura Ringは心拍数、動き、体表温の傾向といった体の信号を監視し、いつ眠りについたか、どの睡眠段階にいるかを判断します。これは、それぞれの睡眠段階(覚醒時間、浅い睡眠、 レム睡眠、深い睡眠)に特徴的な生体信号があるためできることです。
新しい睡眠段階アルゴリズムの開発のため、「より多様な人々を対象に、これらの生体信号とそれに対応する睡眠段階を検出する精度を高めるべく、最大級のウェアラブル睡眠データセットを収集しました。精度が向上したことで、睡眠パターンや全体的な健康状態についてより深いインサイトをOuraメンバーにお届けできるようになります」とVallat博士は語ります。
開発プロセスでは、2年以上にわたる広範な研究が行われてきました。「私たちは、世界中の睡眠ラボから収集したPSGとOura Ringのデータを用いた1,200夜以上の睡眠記録が入ったデータセットを構築することに励みました」とVallat博士は述べています。

この研究結果は、査読付きの科学誌『Sensors』に掲載されました。この論文はアルゴリズムの仕組みを詳細に解説しています。Ouraの睡眠アルゴリズムの技術的詳細にご関心をお持ちの方に向けてOuraの透明性への取り組み示すため、いつでもアクセスできるよう一般公開されています。
従来のデータセットとは異なり、Ouraが収集したデータは、異なる肌の色、健康状態、年齢、睡眠障害を持つ人々など、多様な睡眠パターンや背景を持つ母集団から得られています。
多様性のあるデータセットを用いることでアルゴリズムは幅広いタイプの人々のデータを学習し、結果としてさまざまな個人にきちんと機能するようになっています。Ouraでは、『人間を第一に考える』という価値観を重視しており、私たちのアルゴリズムがすべての方に適切に機能することを目指しています。
「この研究が2021年に発表された後も、私たちはトレーニングとテスト用データベースの拡張を続けていました。データセットが2倍以上になり、被験者の多様性も広がり、さまざまな集団に対して高い精度を確保できるようになりました」とVallat博士は述べています。
一般的に、睡眠段階アルゴリズムは、限られたデータ量(100夜未満)で開発されることが多く、健康な若い大学生のような均質な集団から取得されたデータが用いられます。つまり、より広範で多様な集団によって使用される場合、アルゴリズムの精度は必然的に低下します。
| 「データセットが2倍以上になり、被験者の多様性も広がり、さまざまな集団に対して高い精度を確保できるようになりました。」 |
開発スケジュールについて
科学アルゴリズムの研究開発から製品化までの道のりは時間がかかり、特有の課題もあります。
「科学は非常に時間がかかるものです」とPho博士は言います。適切なテストと検証を完了するには何年もかかる場合があり、Ouraの新しいアルゴリズムも例外ではありません。研究で扱ったバージョンのアルゴリズムが最終的な製品内実装と一致することを確認したいと考えていました。つまり、はるかに大規模で多様なメンバー基盤でも、期待通りに動作することを保証する必要がありました。」
さらに、Zhang博士は、「たとえ科学的に『準備完了』の状態であっても、それはリングの外で構築された理論上のアルゴリズムです。ハードウェアやアプリと同期させる必要があります。アルゴリズムをソフトウェアに変換する作業は、リングのファームウェアの変更、アプリやクラウドの開発など、さまざまな工程を含む大規模なプロセスでした」と説明します。
「新しい睡眠段階アルゴリズムを基盤として、全体の睡眠スコアやコンディションスコアなど、下流にある多くの要素に影響が及ぶため、全体として良好な連続性を確保するために調整を行う必要がありました」とPho博士は述べています。「そのため、2022年11月にまずベータ版をリリースしました。これは凝集度を高めてデータをまとめるために、並行アルゴリズムを用いて何百万夜にも相当するメンバーのデータを収集しようという目的でした」と博士は続けます。
最終的に、2年をかけて、Ouraの研究者と世界中の科学者たちで、私たちの科学的知識の基盤を大幅に拡充することができました。現在も、データセットの追加やアルゴリズムの更新を継続的に行っており、この取り組みは続いています。
Ouraのメンバーからみて、何が変わったのか?
「使用するデータの母集団がさらに多様になり、年齢と心拍変動に関連して大きな変化があることに気づきました」とVallat博士は説明します。
Ouraメンバーからは、睡眠指標に次のような変化が見て取れます。
- ほとんどの方は、浅い睡眠が増えるでしょう。「浅い睡眠」と呼ばれていても、脳と身体に利益をもたらすのでご安心ください。浅い睡眠について詳細を見る。
- 心拍変動が高い方は、覚醒時間と深い睡眠が減少し、レム睡眠が増加する可能性があります。
- 心拍変動が低い方は、レム睡眠の減少と覚醒時間の増加が見られるでしょう。
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今後の予定
睡眠科学は時代とともに進化すると認識しておくことが大切です。そして、Ouraの科学も同様に進化しています。「Ouraの目標は、今利用できる科学と技術を用いて、可能な限り正確な指標とインサイトを提供することです。科学や技術の進歩に合わせて、Ouraも進化を続け、実現可能なことの限界を押し広げていきます」とPatel博士は述べています。
またPatel博士は、「私たちは科学主導型の企業であることを誇りに思っており、Ouraメンバーに最先端の健康測定機能を提供するため、研究開発への投資を今後も継続していきます」と話しています。
Ouraの専門家のご紹介
Shyamal Patel博士はOuraの科学責任者として、センサーデータを正確な健康状態の測定に変換するアルゴリズムの研究開発を行う学際的な組織を率いています。ノースイースタン大学で信号処理と応用機械学習を専門とする電気工学の博士号を取得し、ハーバード大学で博士研究課程を修了しています。ボストン在住。
Gerald Phot博士は、Ouraのシニア機械学習データサイエンティストです。神経科学分野の博士号を取得しており、Ouraに入社してからは、新しい睡眠段階アルゴリズム、ワークアウト時の心拍数、Health Risk Managementを含む複数のアルゴリズムの開発と導入に貢献しています。
Raphael Vallat博士は、Ouraのシニア機械学習データサイエンティストです。以前は、カリフォルニア大学バークレー校の人間睡眠科学センターで睡眠研究者として働いていました(Matt Walker教授の研究室)。博士は睡眠と人間の健康に関して数多くの研究論文を発表しており、その業績は複数の主要なニュースメディアやポッドキャストで紹介されています。
Xi Zhang博士は、OuraのHealth Sensing部門責任者です。複数の健康アプリケーション向けのアルゴリズムの研究・開発を行うグローバルな科学者チームを支援しています。Zhang博士はミシガン大学で博士号を取得し、世界初の非侵襲的血栓溶解ロボットを開発しました。大学院を卒業した後、Fitbit、その後Appleで勤務していました。Fitbitでは社内スタートアップのリーダーとして、24時間365日の心拍数モニタリングや心房細動検出(FDA承認済み)など、複数の心臓の健康に関連する主要な機能を実現しました。また、機械学習/人工知能(ML/AI)の応用分野に焦点を当てた学術誌『Ultrasound in Medicine and Biology』の編集委員を務めています。






