「時差ぼけとは、体のサーカディアンリズムが外部環境に遅れて反応するときに生じる、一時的で不快な感覚のことです。
すなわち、スマートフォンは自動的に正しい時刻に更新されるかもしれませんが、体の生物リズムは速やかに調整することができないのです」と、Ouraのアドバイザーを務める睡眠研究者で、『Sleep for Success』の著者であるRebecca Robbins博士は説明します。
移動日の睡眠障害についてOuraのデータが明らかにしたこと
旅行によって睡眠が妨げられると感じるのは、気のせいではありません。30万人を超えるOuraメンバーの睡眠データを集計および非特定化したところ、前夜と比較して、移動日の睡眠はいくつかの指標において著しく低下することが分かりました。
- 合計睡眠時間が32.2分減少
- 睡眠スコアが5.6ポイント低下
- 深い睡眠が5.1分減少
- レム睡眠が10.2分減少
- 浅い睡眠が16.9分減少
- 平均心拍変動(HRV)が0.15ミリ秒低下
- 安静時心拍数が0.45bpm増加
身体は移動することによって影響を受けます。生活リズムの乱れ、不慣れな環境、身体的な緊張状態が重なると、睡眠の量も質も低下します。
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時差ぼけの原因
時差ぼけの症状には、全身のだるさ、不眠、早朝覚醒、過度の疲労感、集中力の低下、胃腸障害などがあります。また、Ouraアプリでは、体表温や心拍数の変化など、体が新しいタイムゾーンに適応していることを示すサインが見つかるかもしれないとRobbins博士は指摘しています。
時差ぼけに大きな影響を与える要因のひとつは太陽の光です(太陽光は時差ぼけの解消にも役立ちますが、それについては後で触れます)。光の有無はサーカディアンリズムと呼ばれる太陽の24時間周期に基づく体内時計に影響を与え、睡眠と覚醒のタイミングを体に知らせます。
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時差ぼけを起こすその他の要因には、飛行機の気圧、体の水分補給レベル(こまめな水分補給を!)、年齢(年配であるほど時差ぼけになる可能性が高くなります)、目的地の方角(東に向かう場合は時間が早まるため適応しにくくなります)などが挙げられます。
一般的に、移動距離が長く、時差が大きいほど、時差ぼけの影響を受ける可能性が高まります。「時差を調整するには、ひとつのタイムゾーンにつき一日かそれ以上かかることがあるので、5時間進んでいる地域に移動すると、時差ぼけを解消するのに5日かそれ以上かかる可能性があります」と、Robbins博士は指摘します。
とはいえ、せっかくの休暇が台無しになることを心配する必要はありません。ここで、時差ぼけに対処し、貴重な休暇を最大限に活用するための7つのヒントをご紹介します。
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専門家による時差ぼけ解消のヒント
1. 出発前に調整する
「海外旅行において最も大切なのは、事前に準備をすることです」と、Robbins博士は言います。東の方向へ移動するなら早めに、西へ移動するなら遅めに、15分から30分ずつ就寝時刻を調整してサーカディアンリズムを新しいタイムゾーンに慣らしていきましょう。
食事の時間もサーカディアンリズムに影響を与えることがあるので、目的地に合わせて早めに食事の時間を調整し始めるのもよいでしょう。
メンバー向けヒント:Ouraの食事機能を活用して、自分の選択した食事がエネルギー補給にどれだけ役立っているかを探りましょう。衝動的な食欲やエネルギー不足に負けず、栄養バランスの乱れを見極め、目標に向かって軌道を調整する助けとなります。 |
2. 完全に切り替える
目的地に着いたら、時計、就寝時刻、食事の時間を新しいタイムゾーンに合わせることをRobbins博士は勧めています。気になるでしょうが、今いる場所と元の場所の時間を比較するのはやめましょう。
3. 光を利用する
新しいタイムゾーンに適応するために起きていたい場合は、夕方の光を浴びて、体が覚醒していられるように促してください。逆に、西の方向に移動してきて適応しようとしている場合は、夕方の早い時間帯の日差しを避け、早く寝られるよう体を準備しましょう。
いずれにしても、旅先で目覚めたら必ず朝日を浴びて、サーカディアンリズムの調整を促しましょう。出張のため、夜遅くまでパソコンやスマートフォンを使う必要がある場合は、睡眠を妨げるブルーライトを避けるためにブルーライトカットメガネを使用してみてください。
4. 室温を下げる
睡眠に備えて、体は自然と冷えていきます。寝室のサーモスタットを下げれば、そのプロセスを早めることができます。眠りを促すためにできるもうひとつのトリックとして、目標とする就寝時刻の前に、熱いお風呂に入るか熱いシャワーを浴びて、体がリラックスできるようしてみてください(これが有効である理由はこちら)。
5. メラトニンを使ってみる
研究によると、メラトニンが時差ぼけの解消に役立つことが分かっています。睡眠薬は避けたいところですが、睡眠導入ホルモンであるメラトニンを少量(1~2mg)摂取することはできる、とRobbins博士は言います。研究によると、メーカーによって用量が異なることが示唆されているため、必ず高品質の医薬品グレードのサプリメントを選ぶようにしてください。
6. 体を動かす
「運動は、環境の明暗パターンに同調するのに役立ち、それによってタイムゾーンの調整がしやすくなります」と、Robbins博士は指摘しています。「さらに、運動はストレスを軽減し、入眠能力を高めます。新しい環境に慣れるために、散歩やジョギング、ヨガなどをすることをお勧めします」と、Robbins博士はアドバイスしています。
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7. 必要に応じて昼寝をする
夜行便を利用した場合は、ぐっすり眠れなかったかもしれません。「到着日の午後に昼寝をしても構いませんが、90分以内に留めましょう。 午後は自然光を浴びながら散歩をしてください。新しい場所を探検することもできますし」と、Robbins博士はアドバイスしています。
メンバー向けヒント:Ouraアプリの探索コンテンツで、仮眠に役立つ呼吸法や瞑想を試してみましょう。15分以上昼寝をすると、Ouraはそれを自動的に追跡し、深い睡眠やレム睡眠などのインサイトを表示します。 |