急な階段を早足で上っているところを想像してみてください。楽に上れるでしょうか?それとも息が切れるでしょうか?これは、あなたの心肺機能を知る手がかりとなります。

Ouraの新しい「心臓の健康」機能のひとつである「心肺機能」は、VO2 Max、つまり激しい運動中に体がどれだけ効率よく酸素を摂取し、利用しているかを推定します。  

この新機能を、心血管年齢や、その他のOuraのデータやインサイトと併用することで、心血管系全体の状態や長期的な健康について把握できます。

メンバー向けヒント:アプリの使い始めに表示される心肺機能の推定値は、Ouraアプリのマイプロフィールで入力した特性に基づいて算出されたものです。この数値は、あくまで集団レベルの平均値に基づく推定値です。より正確な評価を行うには、歩行テストを受けてください

詳細を見る: 心肺機能について

心肺機能(VO2 Max)とは?

激しい運動(ランニングなど)をすると、一連の生理的反応が起こります。まず、心拍数が上がり、筋肉により多くの血液が送り込まれ、エネルギーの生成に必要な酸素と栄養素が供給されます。血管が拡張して血流を促し、心臓の左心室が拡大して1回の拍動で送り出す血液の量が増えます。

筋肉が激しく働き始めると、より多くの酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するために呼吸も激しくなります。酸素は肺から血液に入り、ヘモグロビンと結合して、活動中の筋肉に到達すると、筋肉のエネルギー(燃料)であるアデノシン三リン酸(ATP)の生成に使用されます。

心肺機能(VO2 Max)は、心臓、血液、血管、筋肉、肺がどれだけ効率的に協働しているかどうかで決まります。 

VO2 Maxが高いほど、身体活動中に筋肉に酸素を供給する能力が高いといえます。「逆に、VO2 Maxが低いと、さまざまな臓器系に酸素を運ぶために心拍数を上げなければなりません」と、Ouraのシニア研究員を務めるPauli Ohukainen博士は説明します。

VO2 Maxの測定方法

VO2 Maxの測定には、通常2つのテストが使用されます。

最も信頼のおける最大運動負荷試験

Vo2Max maximal exercise test | Oura Ring Cardio Capacity
Credit: University of Virginia School of Medicine

最大運動負荷試験は、激しい運動中に体が消費できる酸素の量を直接測定するため、最も精度の高い検査法と考えられています。 

しかし、必要な機器や人員の関係で、この種の検査は費用と時間がかかる傾向があります。また、激しい運動を伴うため、高齢者や持病のある人など、すべての集団レベルに適しているわけではありません。

この試験では、被験者(通常はトレッドミルや自転車エルゴメーターで運動)は、メタボリックカートに接続されたマスクまたはマウスピースを装着し、呼吸中に消費される酸素量と生成される二酸化炭素量を測定します。試験は比較的軽い運動から始まり、被験者が最大限の力を出し切るまで運動の強度を高めていきます。 

VO2 Maxは、試験中に測定された最大酸素摂取量に基づいて算出されます。結果は通常、体重1kgあたり1分間に摂取される酸素のミリリットル量(ml/kg/min)で示されます。

亜最大心肺機能(VO2 Max)試験

比較的安価で手軽に行えるVO2 Max試験は、亜最大試験です。Ouraでは、VO2 Maxの推定にこの方法を採用しています。

亜最大試験では、早歩きのような強度の低い運動を行います。またこの試験では、段階的な運動セッションに対する心拍数の反応を標準的な表や数式と比較し、最大酸素摂取量を推定します。 

安静時心拍数が比較的低く、運動後すぐにベースラインに戻る場合はVO2 Maxが高いことを意味し、安静時心拍数が比較的高く、運動後も高いままである場合はVO2 Maxが低いことを意味します。 

「この試験は読み取りがしやすく、正式なVO2 Max試験のような実用上の制限もなく、リスクも伴いません」と、Ouraのデータサイエンスアドバイザーで運動の専門家であるMarco Altini博士は説明します。

OuraによるVO2 Maxの推定方法

Oura Ring | Vo2Max Test Gif
Oura can now provide an estimate of your Cardio Capacity, or VO2 max.

心血管年齢と同様に、Ouraは研究で裏付けられている方法に基づいて、VO2 Maxの推定値を提供します。OuraのVO2 Max機能は、医療機関で行われる最大試験ほど正確ではありませんが、現在の心肺の健康状態を大まかに推定することができます。この情報を活用して、現在の心肺持久力を把握し、長期的にその推移を追跡できます。 

Ouraアプリは、マイプロフィールで入力した人体測定データ(年齢、性別、身長、体重)に基づいて、初期の測定を数値で示します。この数値は、あくまで集団レベルの平均値に基づく推定値です。

心肺機能をより正確に推定するには、6分間の歩行テストを行うのがお勧めです。その他、医療機関での試験結果や信頼できる情報源からのVO2 Max測定値をお持ちの場合は、その値を手動で追加することもできます。

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VO2 Maxの推定値に応じて、Ouraは心肺機能を次の4つのレベルに分類します。

  • 最大:同年代の中で非常に高い
  • 高い:同年代の中で高い
  • 適切:同年代の中で平均または平均よりわずかに低い
  • 低い:同年代の中で平均より低い

OuraによるVO2 Maxの分類は、研究で裏付けられている基準値に基づいています。男女別の表を以下でご覧ください。

女性におけるVO2 Max分類表 | Oura Ring

男性におけるVO2 Max分類表 | Oura Ring

心肺機能が重要な理由

「心肺機能は健康とウェルビーイングを決定付ける最も重要な要素のひとつです。「歩数エネルギー消費は重要ですが、このような数値は主に健康状態ではなく、行動を反映したものに過ぎません」と、Altini博士は述べます。

アスリートが自身のVO2 Maxを細かくチェックするのには理由があります。「VO2 Maxはパフォーマンスやフィットネスの指標となり、体の調子が良くなっているかどうかを把握するのに役立ちます」と、Altini博士は言います。 

しかし、心肺機能は運動能力だけではなく、心臓の働きの効率や健康状態も反映しています。酸素の供給は、エネルギー生成、脳機能、筋肉機能など、数多くの生理的プロセスに欠かせません。つまり、酸素をより効率的に摂取して利用できるほど、健康状態はより良くなるということです。 

研究によると、心肺機能は、寿命、睡眠の質、病気のリスクなど、他の重要な健康上の問題と関連していることが分かっています。VO2 Maxで測定される心肺持久力も、健康と長寿の重要な予測因子であることが示されています

VO2 Maxが低いと、将来、心血管疾患のリスクが高まりメンタルヘルスが低下し睡眠の質も低下し、さまざまな原因による死亡リスクが高まります。とはいえ幸いなことに、心肺機能を高めるための確立された方法があります。

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心肺機能を高める方法

「有酸素運動ほど、心血管系に良いものはありません。有酸素運動は強い心臓と柔軟な動脈を構築し、変化し続ける要求に応える能力を高めるのに役立ちます」と、Ohukainen博士は説明します。 

特に心肺機能は、年齢に関係なく、トレーニングや生活習慣の改善によく反応します。例えば、ある研究では、60代の男性と女性複数名が9か月間の持久力トレーニングを行ったところ、VO2 Maxを高められたという結果が出ています。 

心肺機能を向上させるために、以下のトレーニングのコツを日々の運動に取り入れてみましょう。

1. 高強度インターバルトレーニング(HIIT)を組み入れる

HIITは、最大心拍数、つまり220から自分の年齢を引いた数値に近い心拍数で行うことをお勧めします。「VO2 Maxを高めるには、この数値に近い心拍数に達するHIITセッションを週に1回取り入れることを目標にしてください」と、Altini博士は言います。

この心拍数で運動をすると、当然ハードに感じ、高レベルの運動を数分間しか続けられないかもしれません。でも、大丈夫です。少しの努力が大きな成果につながるのです。 

詳しく見る:低、中、高強度の運動の定義と、Ouraを使用して運動をトラッキングする方法

2. 低強度の持久力トレーニングの回数を増やす

低強度のトレーニングは、最大心拍数の60~70%程度で行うもので、長めのウォーキング、のんびり自転車に乗る、ジョギングなどの運動が含まれます。研究によると、低強度のトレーニングはVO2 Maxを高める効果があることが分かっています。これは、低強度のアクティビティを継続するために心臓と肺が鍛えられるためです。

詳しく見る:Ouraによる歩数とアクティビティの測定方法

3. 継続して行う

運動を始めたばかりの人も、何年もトレーニングを続けている人も、心肺機能を向上させるためには運動を継続することが重要です。定期的に運動すると、筋肉は酸素をうまく使えるようになり、筋肉がより効率的に働くようになります。 

さらに、運動するほど、筋肉はより多くのミトコンドリアを作りますが、ミトコンドリアはATPを生成するため、酸素摂取量と運動能力が向上します。

関連記事:定期的な運動がもたらす7つのメリットと、運動量を増やすための簡単な方法


ŌURAの製品およびサービスは医療機器に相当するものではありません。また、病気や症状の緩和、予防、処置、治療、診断を目的としたものでもありません。健康状態に不安がある場合は、医師にご相談ください。


Ouraの専門家のご紹介

Pauli Ohukanien博士は、Ouraの未来生理学チームのシニア研究員で、心血管代謝の臨床研究プロジェクトの設計・指揮を担当しています。生化学および分子生物学の修士号を取得した後、フィンランドのオウル大学薬理学・毒物学部でヒト大動脈弁石灰化の分子メカニズムに関する博士号を取得しました。査読付き論文を20本以上発表し、博士課程の指導教官や医学部の講師も務めています。

Ouraのアドバイザーを務めるMarco Altini博士は、応用機械学習の博士号、コンピュータサイエンス工学の修士号、人間運動科学およびハイパフォーマンスコーチングの修士号を優秀な成績で取得しています。生理学、健康、テクノロジー、ヒューマンパフォーマンスの分野における50以上の論文と特許を発表しています。